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講義名 信仰伝承論
講義開講時期 前期 1st Half
基準単位数 2
代表曜日 代表時限
コース等 33 日本歴史研究コース
授業を担当する教員
成績評価区分 Grading Scale A,B,C,Dの4段階評価 Four-grade evaluation
レベル Level Level 4
力量 Competence 専門力 Academic expertise

担当教員
氏名
◎ 松尾 恒一

授業の概要   列島の諸地域で活動する民間宗教者について、その祈禱を中心とする祭儀や、神霊と交換し得る身体を獲得する修行や成巫の過程、及び地域社会のあり方について考える。仏教・陰陽五行思想等、祭儀の上で大きなウェイトを占めるのは外来の宗教・思想であり、その伝来と受容、変容にも注目して、東アジアを中心として北東アジア・東南アジア等、アジアの視点から日本の民俗宗教・民間信仰について考える。先行研究についての検討を踏まえ、現代社会に伝承される意義をも探求する。受講者は研究テーマと関連する事例について報告を行い、これに対する討議を中心に授業を進めて行く。
到達目標  日本人の神霊観念とその実践としての祈願の方法について、歴史と伝承を考える。地域の共同祈願と関わって地域統治にも関与するケース(琉球地域のノロ・ツカサ等)、あるいは、病気治療等、個人によって解決困難な問題について、祈禱師的な民間宗教者が祈願・呪術を行うケース(イタコ、ユタ等)を分けて分析する視点より、彼らの神霊と交流し得る能力獲得の過程や、その実践としての言葉・行為・モノ(祭具、楽器、仮面等)について、地域の信仰との相関関係に留意しつつ考える。民間信仰、民俗資料についての歴史資料(古記録・絵画・祭具等のモノ資料)等の一次資料、及び民俗報告書等の一次資料に準ずる資料に基づいて、民俗宗教・民間信仰を通して、地域の伝統的な生業・生活の全体を論じ、レポート・論文としてまとめて提出することを目標とする。
成績評価方法 ・〔平常点〕講義における、自身の研究テーマについての研究発表、及びディスカション30%
・受講者のレポート70%。論文、または調査報告書に相当する水準のレポートを求める。
実施場所 総研大・日本歴史コース(国立歴史民俗博物館)
使用言語 日本語
教科書・参考図書 ・松尾恒一『日本の民俗宗教』筑摩書房、2019年
・松尾恒一、他『日本の民俗,9巻「祭りの快楽」』吉川弘文館 2009年
・松尾恒一『物部の民俗といざなぎ流』(2011年、吉川弘文館)
授業計画 1.ガイダンス 
2.日本人の神観念
3. 日本人の神観念と祭祀の構造、時間を中心に 
4. 日本人の神観念と祭祀の構造、空間を中心に
5.古代宮廷の鎮魂祭祀、神楽、憑依と祭祀
6.古代宮廷の稲作祭祀と民俗
7.隋唐代の仏教の伝来、護国の仏教としての日本仏教、転輪聖王の思想
8.民俗宗教①東海地域の花祭り
9.民俗宗教②中国・四国・九州地域の神楽と祭礼、蒙古襲来等、半島・大陸からの日本侵略の記憶
10. 民俗宗教③琉球の民間宗教者、日本本土と明清代の文化 
11. 民俗宗教④カトリックの日本布教から鎖国へ、かくれキリシタンの信仰
12. 民俗宗教⑤日清・日蘭貿易と長崎の唐寺、近代華僑への伝承
13. 受講者の発表
14.受講者の発表
15.まとめ 
実施場所:国立歴史民俗博物館
関連URLの説明  歴博websiteの松尾の紹介ページにて、受講者は、担当教員の主要著書を熟読して、研究テーマ・内容等を理解して、受講されますことを希望いたします。
備考  各自の研究テーマに即したフィールドワークに基づく口頭発表、レポートについて、発表に先立って指導を受けること。
キーワード  宗教 民俗  民俗宗教 民間信仰  仏教 神道 陰陽思想 キリスト教 潜伏キリシタン かくれキリシタン 日明・日清貿易、日蘭貿易、東アジア・東南アジア・ヨーロッパとの交易と文化交流
他コース学生が履修する際の注意事項  一次資料(文献・絵画等の歴史資料、自身のフィールドワークに基づく記録など)に基づいて、社会、生活、環境等の視点から文化についての分析する意気込み・意欲を期待します。
講義に関する問い合わせ先  総研大・日本歴史コース (国立歴史民俗博物館・108研究室(松尾恒一研究室))
 日本歴史研究コース事務:soken[a]ml.rekihaku.ac.jp([a]を@に変えてください)
関連URL https://www.rekihaku.ac.jp/research/researcher/matsuo_koichi/